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2011年8月9日

【新興国に翔ける】4大市場の正しい見極めを

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110809/mcb1108090501006-n1.htm

 アジアが急激な経済成長の途上にある中、多くの企業が肝心なことを忘れているような気がする。

 確かに、欧米日の先進国による経済支配の時代は終わり、新興国の存在感は年々増している。この流れが今後も当面続くことは間違いないだろう。

 しかし、だからといって、全ての企業がこれら新興国に執着し過ぎるのは間違いだ。企業規模によっては、新興国よりも、今こそ先進国を狙うべき企業もある。

 冷静に考えなければならないのは、経済規模の実態だ。昨今の新興国市場の経済成長率は確かに高い。しかし、現状の市場規模や1人当たり国内総生産(GDP)を見た場合、先進国が圧倒的であることには変わりがなく、急激に市場がなくなることは考えにくい。

 従って、先進国の市場がなくなり、その市場が新興国に移るということではなく、今までの欧米日の3大市場から、今後は新興国がプラスされ、「欧米日+新興国」の4大市場が形成されたということだ。新興国ブームに惑わされ、肝心の先進国が手薄になるのは本末転倒である。

 そして、いくら新興国の経済成長率が高く、市場性が急激に高まっているとはいえ、特に日本企業にとって、モノを売る上で圧倒的に楽なのは先進国である。なぜ楽なのか。簡単に言うと、先進国は輸出で市場が取れるが、新興国は輸出では市場が取れない。もっと言うと、先進国は流通構造が既に出来上がっている市場であり、そこに良い商品を乗せれば、価格が多少高くてもある程度は流通する。従って、輸出である程度は済むのだ。

 しかし、新興国は流通構造がまだまだ脆弱(ぜいじゃく)であり、企業が現地に進出して流通網を作らない限り商品は売れない。良いモノをいくら作ろうが、流通網を作らなければ決して売れない市場なのだ。これが先進国と新興国の最大の違いだ。

 現地に出て流通網を作るということは、経営資源を投資する必要が出てくるため、ある程度の規模のある企業でないと達成し得ない。私の経験則から言えば、経常利益率にもよるが、売り上げで数百億円以上、最低でも100億円以上ないと相当厳しいだろう。

 なぜなら、流通というプレイス戦略面だけでなく、日本企業が不得意とするプライス戦略や、プロモーション戦略も先進国とは難易度が違うからだ。

 私は、売り上げ100億円以下の中堅中小企業の外需獲得戦略とは、必ずしも新興国である必要はないと考えている。狙っている市場シェアが大きい大企業は、新興国市場ではいかに先駆者になれるかが重要だ。

 しかし中堅中小企業は、新興国がある程度先進化してから狙えばよいのだ。先駆者である必要はどこにもない。それより、今こそ先進国を狙うべきなのだ。

                   ◇

【会社概要】ストラテジテック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)

中国インド東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。

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