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2011年4月19日

【新興国に翔ける】風評被害、海外にも飛び火

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110419/mcb1104190503009-n1.htm

 いまだ先の見えない東京電力福島第1原子力発電所の事故。東日本大震災から1カ月以上が経過したが、福島原発の問題は、終息どころか国際評価が最も深刻な「レベル7」にまで引き上げられた。

 東日本では、東北地域をおもな震源地とする余震が頻繁に発生し、人々の不安はとどまるところを知らない。海外からは「日本全体が放射能汚染の危機にある」との誤った認識を持たれてしまった。日本在住の外国人が消え、外国人旅行者が消え、日本から外国人の姿が一気に減った。

 そして現在、50以上の国・地域が日本産の農産物や加工食品の輸入規制を設けている。食品に限らず工業製品に関しても、海外の取引先からは放射能測定を行い、安全証明書を発行してほしいとの依頼が増えつつある。

 これは東北エリアに限った話ではない。日本の地理感に疎い海外の人たちは、日本全体が放射能汚染の危機にあると認識してしまっているのだ。

 この風評被害は、ついに海外に進出している外食産業にまで飛び火し始めた。特に大打撃を受けているのが、香港やシンガポールといった成長著しいアジアの中でも所得水準の高い近代的な国々の日本料理店や日系食品の卸・小売業者だ。

 卸・小売業者は販売商品の変更、大きなポップ(店頭宣伝)や説明資料などで、「鹿児島は福島から1000キロメートル離れています!!」など、産地と福島には距離があることを訴え、風評被害をなんとか最小限にとどめる努力をしている。だが、この努力も飲食店では効果を発揮しないようだ。

 日本料理の看板を掲げた料理屋の客は少ない。日本からの当日直送を売りものにしているような高級寿司(すし)店などは、倒産寸前と店主が肩を落としている。香港人オーナーの日本式レストランなどは改装工事を始め、非日本式レストランへと看板の架け替えにとりかかる店も出てきた。

 そして、風評被害は食品から化粧品など肌につける商品まで、徐々に影響力を広げている。現地の人々にとっては、口に入れるものの次に気になるものは肌につけるものであり、日本製品を敬遠し始めているのだ。

 日本国内でも、何が正しい情報で、何が間違った情報か、分からずに不安を抱える人が大半である。政府と東京電力の発表を信じるしか術がない状況下だから、海外の人々が安心できるはずは到底ない。

 風評被害はたいてい数カ月で終息を迎える。従って、これから海外へ進出を予定する外食産業は特に心配する必要はないだろう。3カ月から半年先の状況を予測し、どの道、日本の内需は縮小するのだから進出スピードを落とすことはない。しかし、すでに進出している企業にとっては、この数カ月が死活問題だ。

 私たちは今、国として、企業として、一個人として、この風評被害を一日も早く食い止めることを真剣に考えなければならない。

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【会社概要】ストラテジテック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)

中国インド東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。

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