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2011年4月12日

【新興国に翔ける】震災で外需獲得が加速

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110412/mcb1104120504018-n1.htm

 日本経済に甚大な被害をもたらした東日本大震災。前回(4月5日付)は、訪日外国人観光客の受け入れと食の輸出の危機的状況を取り上げた。

 一方で、日本企業のアジアを始めとした新興国への進出は一段と積極化するだろう。短期的には足元の経営回復に専念するが、中長期的には日本企業の多くがこれまで以上に海外市場へ目を向けるはずである。

 なぜなら、そもそも日本は歯止めの効かない内需縮小傾向にあるうえに、今回の東日本大震災で東京を含む東日本地域一帯が大打撃を受けている。福島第1原子力発電所の事故処理や電力不足が長期化すれば、日本経済への打撃はさらに増大することは言うまでもない。

 原発の脅威があろうとも、計画停電で事業が制約を受けようとも、企業は経済活動を止めることはできない。従って、「内需がだめなら外需」というのが当然の流れだ。

 今回の大震災が経済へ与える影響で深刻なのは、地震と津波が直撃した被災地だけでなく、原発事故と計画停電で東日本全域がダメージを受けることである。青森、秋田、岩手、山形、宮城、福島の域内総生産は約33兆3000億円で、全国の6.4%にあたる。これら東北だけでも市場は決して小さくない。さらに、東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城、栃木、群馬、山梨といった関東圏までもが、今後の電力不足で大きな影響を受けると予想される。各業界における市場の規模がどれほど縮小するかはまだ未知数だが、非常に大きなマイナス幅となることが避けられそうにない。

 製造業に関しては、アジアが生産拠点という従来の概念から、「アジアを販売拠点に」という動きが加速するだろう。小売業や飲食業に関しても、被災地と関東圏はいま、まさに大震災の影響を受けており、国内全体にも響いている。これらの業界は少子高齢化のしわ寄せを最も受けやすいため、海外市場に販路を見いだす以外に生き残る道はなきに等しい。各種サービス業やIT(情報技術)産業など、ほかの業種も例外ではない。

 今回の大震災は、内需縮小に拍車をかける形になった。国内にとどまって衰退を待つか、勝ち残りをかけて海外に打って出るか。多くの企業は、後者を選択するはずだ。

 このように、日本企業は外需獲得時代に突入するが、重要なのは各新興国に適した戦略を立てて実行することである。内需が縮小するからといって、拙速に外需獲得に走るのではなく、自社が目指すべき市場をしっかりと見極めたうえで海外に進出しなければならない。内需がここまで冷え込むと、外需に失敗したのでやっぱり内需に戻るというわけにはいかない。いったん海外に出れば、当面、後戻りはできないのである。やみくもな海外進出はかえって命取りにもなりかねない。

 日本企業は、従来の即断即決型の海外進出・海外法人設立を改め、戦略的な海外進出を問われる時代に突入したのだ。今後の日本企業のさらなるアジア展開に大いに期待したい。

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【会社概要】ストラテジテック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)

中国インド東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。

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