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2012年12月4日

【新興国に翔ける】進化するアジアの流通構造に学ぶ(1)

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/121204/mcb1212040501003-n1.htm

 アジア市場を獲得する上で、流通構造を学ぶことは非常に重要だ。アジアでは、デパートや総合スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの大型店、もしくはチェーン店に商品を流通させることが必ずしもシェア獲得にはつながらない。なぜなら、小売りの近代化が進んでいるとはいえ、アジアの大半の国々では、まだまだ伝統的小売業、いわゆる“パパママショップ”が圧倒的に多いからだ。

 流通構造を調べてみると、国特有の構造やプレーヤー(事業者)が見えてくる。また、日本とは流通プレーヤー間の商習慣も大きく異なる。

 今回から3連続でアジアの特徴的な国々の流通構造を紹介したい。第1回目の今回は、近年、東南アジア諸国連合(ASEAN)の中でも最も注目されているインドネシアに焦点を当ててみる。

 インドネシアは、人口が2億4000万を超え、ここ数年5?6%台の経済成長率を維持している。2011年の実質経済成長率は6.46%。1人当たりの実質国内総生産(GDP)も3500ドル(約28万8300円)を超えた。

 インドネシア小売業協会(APRINDO)によると、インドネシアの小売市場の売上高は5.6兆円規模であり、今後、しばらくは10?15%の成長が期待されているという。近代的小売業が年々拡大し、現在、小売市場全体の4割弱を近代的小売業が占める。

 所得水準が上昇し、モータリゼーションが進むと、移動手段が発達し、小売りの近代化が進む。まさに、インドネシアはその真っただ中にあるといった状況だ。

 しかし一方で、消費者の日々の生活に密接な食品雑貨系分野を見てみると、近代的小売業の売り上げ割合はわずか15%ほどになる。まだ85%が伝統的小売業なのだ。

 確かに、この分野でも近代化は進むだろう。しかし、現在、全国に250万店が存在するといわれている伝統的小売業、通称「ワルン」が市場では大きな役割を果たしている。小売りシェアを取るには、このワルンでいかに流通させるかが大きなポイントになる。

 このワルンで商品を流通させるには「グロシール」という現金問屋の存在を無視できない。インドネシアの流通構造は特徴的で、近代的小売業と伝統的小売業で流通構造が大きく異なる。近代的小売業に関しては、メーカーから直販、もしくはいくつかの卸業者を通じて小売業者に納められる。しかし、伝統的小売業のワルンは、全ての商品をグロシールから購入する仕組みになっている。1グロシールが地域の数百のワルンをまとめている。

 従って、地域ごとに異なるグロシールを抑えることがインドネシアの伝統的小売市場では重要になる。

 アジアの小売市場は今後もますます近代化していくに違いない。しかし、まだまだ伝統的小売業が大半を占めるということはしっかりと理解する必要がある。どちらの流通に商品を流すべきか、どの流通プレーヤーを抑えるべきか。企業ごとの戦略が問われる。

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【執筆者紹介】

 森辺一樹(もりべ かずき)

 2002年、ストラテジック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)を創業。現会長。1000社を超える企業に対して新興国展開支援の実績を持つ。海外市場開拓コンサルタントの第一人者として活躍中。