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2012年12月18日

【新興国に翔ける】進化するアジアの流通構造に学ぶ(2)

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/121218/mcb1212180502004-n1.htm

 前回に続き、「進化するアジアの流通構造に学ぶ」の第2弾として、今回はインドに焦点を当てる。

 人口12億を抱え、日本の約9倍の国土を持つインド。この巨大市場に世界中の企業が熱い視線をおくっている。1人当たり国内総生産(GDP)は耐久消費財が売れ始めるとされる水準の1000ドル(約8万4000円)を超え、2011年には1513ドルに達した。50年のGDPは、37兆6000億ドルを超え、1人当たりGDPも3万7000ドルを超えるともいわれている。

 しかし、この巨大なインド市場も、一筋縄で開拓できるわけではない。流通構造を正確に理解し、適切な戦略が必要だ。

 インドの流通構造の特徴は何といっても伝統的小売市場が圧倒的に多いことだろう。食品雑貨分野では、まだ98%が伝統的小売りで占められている。他のアジア諸国と同様に、小売りの近代化が急速に進んでいるものの、近代的小売りの比率はまだ2%程度に過ぎない。

 従って、インドでは当面、伝統的小売りをいかに攻略するかがシェアを取る鍵となる。

 欧米系のグローバル企業では、10年以上も前から本格的に伝統的小売市場の獲得に力を入れている企業が多い。それらの企業は、インドの生活水準が上がり、小売りの近代化が進んでも、同様に大きなシェアを取ることになる。

 インドの98%を占める伝統的小売りは、通称「キラナ」と呼ばれており、インド全土に1500万店が存在するといわれている。このキラナのまとめ役である卸売業者は、日本とは異なり、大部分が小規模だ。各卸売業者は、数十店舗のキラナを担当し、デイリーやウイークリーでキラナを訪問し、注文を受け、商品を配達する。

 そして、インドの流通構造で最も重要な役割と言っても過言ではない存在が代理店だ。代理店は卸売業者の管理を行っており、インドでは、代理店を抑えられない限り、キラナ市場でのシェア獲得はない。

 また、インドは国土が広い上に、地域(州)での需要が強いため、代理店もインド全土をカバーするような規模の企業は存在しない。地域ごとに有力な代理店を確保することが重要となる。

 そして、最後がC&FA(Carrying&Forwarding Agent)の存在だ。

 これは、全国に倉庫を持ち、メーカーや輸入業者との契約により商品保管、仕分け、発送を行う。日本でいうところの配送センターに近い存在だ。業種を問わず、インドの流通構造には必ずC&FAがからむ。理由は、インフラが未整備なため、商品保管場所を点在させる必要があるからだ。そして、自前よりもアウトソーシング(業務外注)のニーズが高いため、C&FAという事業者が発達した。

 もう一つの特徴として、州またぎ税(中央売上税)がある。インドでは、州を超えた取引には課税されるのだが、C&FAを活用すると、これを上手に回避できる。このように、インド市場の攻略は事前の調査研究が欠かせない。

 次回は、中国の流通構造を取り上げる。

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【執筆者紹介】

 森辺一樹(もりべ かずき)

 2002年、ストラテジック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)を創業。現会長。1000社を超える企業に対して新興国展開支援の実績を持つ。海外市場開拓コンサルタントの第一人者として活躍中。