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2012年11月20日

【新興国に翔ける】資格創設で中小企業グローバル化支援を

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/121120/mcb1211200504013-n1.htm

 中小企業が生み出す付加価値の総額は、過去20年以上にわたって毎年50?60%の水準を維持し続けている。日本の中小企業は約430万社あり、企業数全体の99%以上を占める。また、全体の約7割に当たる、2800万人の雇用も生み出している。この数字を見れば、中小企業が日本経済にとってたいへん大きな役割を果たしていることは言うまでもない。

 しかし、これら中小企業の多くは、世界に誇れる商品やサービスを持ちながらも、昨今のアジアを中心とした外需獲得の波に戸惑いを隠せないでいる。中小企業のグローバル化はわが国のさらなる経済成長の最大の課題と言えよう。

 中小企業が欧米や韓国、台湾の中小企業に打ち勝ち、アジアへ販路を拡大していけるか否かは、日本の産業界全体のグローバル競争の鍵を握ると言っても過言ではない。

 海外展開を支援するサービスは、公共機関が提供するものを中心にいくつか存在するが、いずれも中小企業が求めるニーズを満たしていない。海外支援を期待する企業が多い一方で、既存の支援の満足度は低いのである。特に、マーケティング戦略や販売網の確立、人的資源の確保に課題を抱えている企業が多い。

 公共機関の支援制度には当然ながら限界があるし、全国に点在する膨大な数の中小企業を網羅的に支援することは、もはや一民間企業ができる類いのものではない。しかし、内需が縮小の一途をたどっている事実とわが国における中小企業の重要性が明らかである以上、中小企業のグローバル化が失敗すれば、日本経済を支える根幹を揺るがしかねない。

 幸いにも、中小企業のグローバル化は来年、再来年という短期決戦の必要性がまったくない。アジア市場で大きなシェアを取ろうという大企業のグローバル化は今やらなければ勝てない。

 しかし、中小企業が狙うアジア市場は大企業とは異なる。従って、中小企業は5年、10年、もしくはそれ以上の時間軸でグローバル化すればよいのだ。競合視すべきは、大企業ではなく、アジア市場を狙う他国の中小企業だからだ。とはいえ、ある程度の時間的猶予あるグローバル化は、やみくもにやっていても何も蓄積されない。

 私は、日本の中小企業のグローバル化促進には、海外マーケティング戦略の実務の修得者に授与する資格制度が必要だと考えている。中小企業の直接的なグローバル化支援を国や個々の民間企業がそれぞれに行うのではなく、業種・規模・国別に異なる進出ノウハウをある程度標準化した上で、統一の資格制度を制定し、支援を専門とする全国の地方銀行や税理士が資格保有者として、中長期的に中小企業のグローバル化の指導を行うべきなのである。

 中小企業が淘汰(とうた)されれば、彼らを支援する多くの企業も同時に淘汰される。そう考えれば、非常に意義のある制度だと感じる。日本には多くのすばらしい中小企業が存在するだけに、一刻も早い制度制定に期待したい。

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【執筆者紹介】

 森辺一樹(もりべ かずき)

 2002年、ストラテジック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)を創業。現会長。1000社を超える企業に対して新興国展開支援の実績を持つ。海外市場開拓コンサルタントの第一人者として活躍中。