TOPレポート・コラム> レポート・コラム詳細

セミナー・講演会詳細

2011年1月25日

【新興国に翔ける】自分との違い 受け入れる度量を

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110125/mcb1101250503014-n1.htm

 私は仕事柄、1年の約3分の1を海外で過ごす。訪問先はさまざまだ。成田空港を飛び立ち、現地の空港に着陸した瞬間に頭の中のスイッチを切り替える。ビジネスの本質部分は変えず、枝葉のスタイルをその国に合わせる。日本のビジネススタイルは時に的をはずれていることがあるからだ。

 例えば、名刺交換は日本と海外で慣習に大きな差がある。日本にはいろいろと複雑なルールが存在する。名刺交換はまず、役職の高い人から順に行わなければならない。

 外国人はこう言う。「初対面で相手が数人いたら、誰が一番偉いのか分かるわけがない」

 しかし、日本人はそれを無難にこなす。ポイントは年齢だ。日本の場合、今や成果主義と言いながらも、基本はまだまだ年功序列だ。最年長者に近づき、口には出さずに「あなたが一番の格上でよろしいですよね?」と絶妙なしぐさで名刺を出す。正解の場合は相手も自然と名刺を差し出し、不正解だとすっと身を引いて自分の上司をこれまた絶妙な合図で教えてくれる。これは日本だからこそ成り立つ場面だ。

 そして、いざ名刺交換となれば、互いに向き合い、両手で名刺を渡し、両手で名刺を受け取る。その際、相手がお客や年長者であれば、相手の名刺よりも低い位置に自分の名刺を出すのが“日本の常識”だ。相手によっては、さらに低い位置に名刺を出され、自分もすかさずもっと低い位置に出し直す。何度か繰り返しているうちに、ひざの位置まで下がってしまう?。「まるでコメディーを見ているようだ」と外国人は笑うだろう。

 多くの国では名刺にたいした価値を見いださない。名刺は単なる自己紹介ツールであり、それ以上でも、それ以下もない。そんなものに、厳格なビジネスマナーは不要という考えだ。

 また、日本では客先でお茶を出されたら、「どうぞ」と言われるまで湯のみに触れない。応接する場合も、「おかけください」の一言があって初めて着席する。これまた、外国人には理解不能だ。彼らは自発的に堂々と座る。その後、相手との距離が遠ければ、まるで手裏剣を投げるかのごとく名刺を会議テーブルの上にさっと滑らせる。手渡しの場合でも、名刺の頭が自分の方を向いていることや、角がヨレヨレということも珍しくない。

 お茶にしても、出されたお茶を飲まない方が失礼だし、それどころかバッグから“My Coke”(さっき買った自分のコーラ)を出して飲むマイペースな人さえいる。

 日本人が日本でこれらの行為に及んだ場合、「空気を読めない人の極致」と見られ“出禁”となりかねない。日本人は、外国人がやると許せるが日本人がやると許せないことが多すぎる。

 私は日本人だし、日本の礼儀はすばらしいと思う。しかし、これからの日本人は、自身の主体性を持ちながらも、自分との違いを受け入れる度量をもっと伸ばす必要があると感じる。重要なのは本質であり、枝葉ではない。それが国際社会をリードする日本人に求められる姿勢ではないだろうか。

                   ◇

【会社概要】ストラテジテック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)

 中国インド東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。

?? ホームページはhttp://www.sdigrp.com/