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2010年12月7日

【新興国に翔ける】現地製販・幹部登用はピジョンに学べ

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/101207/mcb1012070505011-n1.htm

 創業1957年、老舗ベビー用品総合メーカーのピジョン。哺乳瓶のトップ・ブランドとして特に名高く、70%以上のシェアを持つ。

 このベビー用品日本国内最大手企業は、中国をはじめ海外市場にも積極的に進出している。海外売上比率は35%に上り、商品によっては7割以上が海外というものも少なくない。

 中国では、世界で最も厳しいとされる日本の消費者に鍛えられた品質を武器に、現地メーカーに比べ2倍近い価格設定ながら沿岸部の富裕層を中心に販売を急激に伸ばしている。2005年にはわずかだった取り扱い販売店も、今では9000店を超え、中国全土をカバーする。売上高も05年の10億円から09年には86億円と成長がすさまじい。

 拡大する中国市場において、シェアをなかなか伸ばせない日本企業が多いなか、ピジョンの成功の秘訣(ひけつ)はどこにあるのだろうか。今回は、ピジョンをケーススタディーに新興国の攻略法を考察する。

 ピジョンが中国で歩んできた道のりは決して平坦(へいたん)ではなかった。中国進出を決めたのは2000年だ。2年後の02年4月、上海に現地法人を設立した。「設立当初から、商品を日本から輸入して販売するのではなく、いかに現地で生産し、現地で売るかを考えていた」とピジョン上海の北澤憲政総経理(社長に相当)は話す。

 02年というと、日系企業の大半はまだまだ生産拠点としての中国活用がメーンであり、中国内需獲得の重要性に気付いてはいたものの、法律問題や現地企業との取引リスクなどから、本気で取り組む企業は少なかった。ピジョンが中国内需に本気で取り組んだ時期は確実に他の日系企業より早い。

 ピジョンが上海法人設立後、最も力を入れたのが代理店網の構築だ。中国では、良い商品を作っても、それだけでは売れない。重要なのは良い商品を流通させるための仕組み作りだ。代理店を組織し教育する。店員の接客レベルが日本より著しく低い中国で、店員教育は相当な苦労だったに違いない。

 ピジョン上海には、もう一つ他の日系との違いがある。それは現地法人の総経理が設立から8年、一度も代わっていないことと、経営幹部に現地人を抜擢(ばってき)していることだ。多くの日系企業では日本人による現法統治が行われているが、ピジョン上海の副総経理は女性中国人が担っている。

 現在、ピジョン上海は、中国衛生部と共同プロジェクト「ピジョン母乳育児相談室」を32省のトップレベルの病産院に開設しているほか、160病院と販促面での協力体制を整えている。今後は出産の現場から業界に貢献するという。13年には取扱店も約1万2000店に増え、売上高150億円を見込む。一人っ子政策の影響により、中国の少子高齢化は急速に進むといわれている。しかし、日本の出生者数は100万人程度だが、中国の今後5年の出生数は年間1500万?1800万人程度と見込まれており、中国のベビー用品市場の可能性は日本など比にならない。

 早期から中国内需に取り組んだことで得たノウハウが今のピジョンの強さであり、今後のさらなる成長の糧であることは言うまでもない。

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【会社概要】ストラテジテック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)

 中国インド東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。

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