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2012年1月24日

【新興国に翔ける】現地人材に“忠誠心”は通用しない

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120124/mcb1201240501004-n1.htm

 海外法人に駐在している多くの日本人トップと話をすると、「現地人は会社に対するロイヤルティー(忠誠心)がなくて困る」という嘆きの声を多く聞く。

 現地採用した現地人の社員を数年かけて教育し、ようやく一人前になったと思ったら、より良い待遇や条件の他社に転職をしてしまい、いい人材が定着しないというのだ。

 国により差はあれ、確かに現地社員はより良い条件や待遇の会社へと転職を繰り返す。成長著しい新興国ではなおさらそうである。

 もちろん、国民性も大いに影響を及ぼしているが、基本的には全てが豊かで安定した環境にいる先進国の人材より、豊かで安定した環境を手に入れる途上にある新興国の人材の方が転職を繰り返す傾向は強い。なぜなら、現状にはまだ甘んじることができず、より良質で豊かな生活環境を求めているからだ。既にある程度の生活レベルに達した日本人よりもはるかに強い欲を持ち、一生懸命に生きている。だからこそ新興国は今、高い経済成長を維持し続けているのだ。

 このような背景のある国々で、日本人社員と同様なロイヤルティーを現地社員に求めることは難しい。

 そもそも日本人はなぜ会社に対するロイヤルティーが高いのかを考えれば、現地社員にそれを求めることが難しいのかを理解できる。

 今でこそ違うが、かつて、日本人にとって会社は人生そのものであり、日本企業は終身雇用という絶対条件のもとで、当人はもちろん、その家族までをも守ってきた。国は外資企業を規制して日本企業を守り、官民が一体になり豊かな生活を目指してこれまで成長をしてきた。この国を支えてきた団塊の世代にとっては会社が全てであり、会社にロイヤルティーを持つことなどは当たり前であった。

 しかし、時は流れ、日本企業の終身雇用が絶対ではなくなり、今は成果主義といった概念が持ち込まれた。社員のロイヤルティーは薄れ、優秀な若手になればなるほど、より良い職場環境、より高いスキル(技能)を磨ける環境へと身を移すように変化した。

 日本は、世界的に見ても会社に対するロイヤルティーという面では特殊なのだ。これら日本の特殊な環境が社員を完全に守ってきたため、社員も会社を全てと考えた。このような特殊な常識を現代の現地社員に押し付けても受け入れられる訳がない。

 会社へのロイヤルティーという考え方自体が、どんな世界であれ、現代には既に合わない考え方なのかもしれない。しかし、ロイヤルティーは得られなくとも、“定着”を得ることは可能だ。

 転職を繰り返す優秀な現地スタッフはなぜ転職をするのか?。他社がより高い評価をしてくれるからだ。では、評価とは何か?。“条件”と“環境”である。

 日本企業には独特の目に見えない評価が存在するが、それは海外で通用しない。目に見える“条件”と“環境”でしっかり社員を評価する仕組みを持てば、現地社員の定着は容易なことなのである。

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【会社概要】ストラテジテック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)

中国インド東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。

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