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2012年10月23日

【新興国に翔ける】海外市場獲得の成功法とは

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/121023/mcb1210230500004-n1.htm

 私は仕事柄、さまざまな講演機会をいただき、海外市場獲得に関するお話をさせていただくことが多い。講演後、いろいろな業種や業界の方々と雑談をする中、皆さんが一様に海外市場を獲得するための成功法を教えてほしいといわれる。

 「自社の製品はこんなにすばらしく、日本ではこれだけのシェアを持っている。なので、必ず現地でもニーズはあるはず。成功法さえ分かれば絶対に売れるはず」と鼻息が荒い。「現地ではパートナーが重要なのか。人脈が重要なのか。それともプロモーションが重要なのか」といった具合だ。

 はっきりしていることは、海外市場を獲得する上で、必勝法など存在しないということだ。唯一の成功法は、「当たり前のことを当たり前にやる」以外にはない。

 海外市場をうまく獲得できていない企業の多くは、当たり前にやるべきことができていないだけなのである。ろくに市場調査も行わず、とにかく箱(現地法人)を整え、人(駐在員)を送り込み、日本でのビジネスモデルをそのまま持ち込み、苦戦のスパイラル(連鎖)に突入してしまう。

 例えば、マーケティング戦略において、基本中の基本であるマーケティング・ミックスの4P(Product=製品・サービス、Price=価格、Place=流通、Promotion=販売推進)ですら、しっかりと整理できていないケースが少なくない。

 これらの基本事項について、日本市場では当たり前にできているが、いざ国境を越えてビジネスをするとなると勝手が違う。分からない市場だからと、分かろうとすることをあきらめ、パートナーや人脈といったものに頼ろうとする。

 もちろん、海外でビジネスをする上で、パートナーや人脈はたいへん重要である。しかし、それは自社の戦略がしっかりとあった上での話であり、そうでない企業がパートナーや人脈を得ても、必ずといってよいほど失敗に終わる。

 結局のところ、どの国においてもビジネスの基本は、誰が(人材)、何を(製品・サービス)、いくらで(価格)、どのような場所で(流通)、どのように知ってもらい(プロモーション)、誰に(ターゲット)売るのかである。すくなくとも、これらを整理できれば、事業の課題が整理できる。課題が整理されれば、次は、その課題を誰がいつまでにどうやって解決していくのかである。

 本来は、この課題を解決していくことこそが、海外市場で戦うということであり、多くはそれらで奮闘すべきなのだが、課題の整理もろくにしないまま戦場に飛び込み、無駄に奮闘している企業が実に多い。現地での悪戦苦闘を見聞きしていると、そんなことは海外市場に飛び込む前から分かってしかるべきだというケースが数多くある。

 海外市場獲得は一日にして成らずであり、いかに早期に課題を抽出して着実に解決していくかが成功への近道なのである。海外展開の遅れに対して、決して焦る必要はない。日本企業は世界のどの国の企業よりも誠実さや信頼感など、まねのできない良い面をたくさん持っている。少しだけスピードを意識して、当たり前のことを着実にやるという基本に立ち返れば、必ずや海外市場でも大きな成果を上げられると信じている。

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【執筆者紹介】

 森辺一樹(もりべ かずき)

 2002年、ストラテジック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)を創業。現会長。1000社を超える企業に対して新興国展開支援の実績を持つ。海外市場開拓コンサルタントの第一人者として活躍中。