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2010年12月21日

【新興国に翔ける】日本企業の意思決定が遅い理由

http://www.sankeibiz.jp/business/news/101221/bsg1012210500001-n2.htm

 日本企業は一般的に意思決定が遅いといわれている。理由は何か?

 日本人の多くは、組織内の権限委譲の問題や責任追求の問題、前例がない事項への抵抗感などを指摘する。また、日本人はそもそもそういう民族だという国民性の問題だともいう。

 一方、欧米企業を中心とした外資系企業は、あらゆることに対してロジカル(論理的)でスマート(機敏)、前例のないことへの挑戦文化が根付いており、権限委譲がしっかりとなされているため、さまざまな局面で素早い意思決定が可能になるという。

 確かに、欧米企業は日本企業と比較すると意思決定が早い。しかし、根本的な理由は別にある。

 私に言わせれば、欧米企業は日本以上に非合理的な面も多く、むしろドロドロした組織であり、なんら日本企業と変わりはない。ロジカルでスマートな組織は意思決定が早いというのであれば、昨今の中国や韓国企業の意思決定の早さはどう説明するのだろうか。

 意思決定の早い海外企業と日本企業の絶対的な違いは、「情報」に対する価値観の違いである。

 日本企業は情報など無形のものに価値を見いだせない企業が多い。口には出さないが「情報はタダ」だという概念が根強い企業も少なくない。しかし、無料の情報に価値などないし、情報は経時劣化が激しく、ごく一部の人だけが知っているからこそ価値がある。

 そして意思決定とは、インプット(入力)となる多くの情報が集約され、それが思考とともに体系化され始めて出すことができるアウトプット(出力)である。

 もっと平たく言うと、自身がよく理解していることはすぐに決められるが、分からないことはなかなか決められないのと同じである。情報が少ないから判断がつかないのである。

 無論、判断が難しい意思決定も多く存在するが、こと新興国ビジネスにおいては、難しい判断の前に、あまりにも情報収集を軽視していると言わざるを得ない。

 最悪のケースは、情報収集が十分でないにもかかわらず、“見切り発車”でアジア諸国に現地法人を設立し、なかなかその市場でシェアを獲得できずに、後で情報収集の重要性に気づくパターンである。それでは無駄に多くのコストを費やすことにもなるし、企業体力によっては「時すでに遅し」となることもある。

 日本企業は製品やサービスの質に高い優位性を持ち、日本人は物事を慎重に考え判断できるという素晴らしい面があるだけに、新興国を中心とした海外で成功するためには、今一度、「情報」に対する価値観を見直すべきではないだろうか。

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【会社概要】ストラテジテック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)

 中国インド東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。

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