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2012年5月22日

【新興国に翔ける】日本人駐在員を送り込むな

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120522/mcb1205220504012-n1.htm

 外務省の2011年版の報告書によれば、海外に在留している邦人は114万3357人である。1991年の66万3049人から約20年間、毎年増加し、ほぼ2倍に膨らんだ。

 114万3357人の内訳を見ると、日本人駐在員が含まれる長期滞在者が7割程度で、残り3割は永住者となっている。長期滞在者だけを見ると、多い順に米国、中国、英国、タイと続く。

 さらに詳しく地域別の在留邦人数を見ていくと、03年から約7年間で欧米やその他地域が2%ほど減少する中、アジアは5%以上の伸びを見せている。長期滞在者数だけであれば、6%以上の伸びとなる。

 この調子で今後も日本企業は海外展開する上で駐在員を送り続けるのだろうか。

 最近、大企業を中心にアジア市場でのシェア拡大のため、日本人駐在員を増員する企業が増えている。

 しかし、駐在コストがかかり、現地事情に精通しない日本人駐在員の役割とは何なのだろうか。

 生産現場の管理者、日本本社とのやり取りの窓口、現地日系顧客の対応など、いずれも費用対効果を考えると首をかしげざるを得ない。

 主要ポストのトップに日本人を置くことに何の意味があるのだろうか。

 私自身、異国の地で会社を立ち上げた際、現地人との比較で自分がいかに劣っているかを痛感したものだ。

 一方で、欧米などのグローバル企業といわれる企業はどうか。

 もちろん、進出当初は本国から駐在員を派遣し、異国の地で事業基盤を構築する。しかし、日本企業と根本的に異なるのは、その後だ。基盤が出来上がった後、欧米企業は現地法人の主要ポストのリーダー育成を徹底的に行う。そして可能な限り早期に現地人による現地法人の統治を目指す。その後の駐在員の役割は本社からの現地法人マネジメントだ。現地法人の運営など、任せるべき部分は任せ、それをマネジメントする側に回る。非常に合理的だ。

 よく考えてみれば普通のことなのである。日本で活躍している外資系企業も、外国人が本国から来ていつまでも異国の地で頑張っているだろうか。マクドナルドにせよ、セブンイレブンにせよ、P&Gにせよ、その他どんな外資系企業でも構わないが、それら企業は皆本国から来た外国人が大きく成長させたのだろうか。

 答えはノーである。欧米企業は、異国での企業統治が非常にうまい。

 そして、もう一つ日本企業で残念に感じる点は、帰国した駐在員の扱いだ。異国で5?6年と経験を積んだ駐在員は、当該国の現地人と競争をすれば多くの面で劣ってしまうが、いざ日本に帰国すれば、当該国を熟知する最高のマネジメント人材だ。

しかし、帰国後は海外とはまったく関係のない仕事をしていたり、帰国してもポストがないなどの話をよく耳にする。人事部は何をしているのかと不思議に思うことが多々ある。

 日本企業も駐在員を送り込む海外展開から、現地人リーダーを育成する海外展開にシフトし、帰国した駐在員に本社から現地法人をマネジメントさせ、本社のグローバル化を真剣に進めることが急務だ。

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【会社概要】ストラテジテック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)

中国インド東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。

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