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2012年4月3日

【新興国に翔ける】日本のサービスはアジアで通用するか

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120403/mcb1204030501015-n1.htm

 われわれ日本人が世界に誇れるものの一つに“質”の高さがある。これは決して製造大国日本が誇るさまざまな製品や技術の質の高さだけではなく、日本企業が提供するサービスにも同じことが言える。日本のあらゆる企業が提供するサービスは質が高い。

 海外に住めば、日本ほどあらゆる業界でサービスの質が高いと感じる国はないことが良く分かる。

 スーパー、コンビニエンスストア、レストラン、アミューズメント(娯楽)施設、ガソリンスタンド、ホテル、銀行、航空会社、公共施設と、ありとあらゆる場面で質の違いを実感する。「日本だったらこうなのに…」と嘆くこともしばしばだ。

 では、この質の高いサービスをアジアにそのまま持ち込めば成功するのだろうか。それには少し気をつけなければならない。

 まず、日本と海外のサービスに対する大きな違いは「海外では、良いサービスは無料ではない」ということだ。日本でわれわれが受ける質の高いサービスは全て無料であり、日本では全国民が平等に同じ質のサービスを受けられる。お金持ちも庶民も受けるサービスに表面上は大きな違いが存在しない。

 しかし、海外ではそうではない。より質の高いサービスを受けようと思うと、より高いお金を支払うのが当たり前だ。

 従って、余計なサービス料を払わなければ、提供されるサービスも普通であり、日本よりも質が低いというだけのことだ。

 それが、サービスを提供する側も受ける側も当たり前になっており、不満を抱く人などいない。

 例えば、レストランに行った際、食事の始まりから終わりまで、1人のウェイターがいろいろと気の利いた働きをしてくれる。これにはチップというサービス料が発生する。ホテルでルームサービスやベッドメイキングをお願いすれば、そこにもチップが発生する。そもそも、このチップという考え方が特別なサービスに対する料金なわけだ。

 また、海外で銀行に行けば、必ずといってよいほど、「プライオリティー・レーン(優先レーン)」が用意されており、ある一定額以上の預金がある顧客は、長い行列に並ばなくて済む。日本でも、外資系の銀行は皆そうなっている。

 さらには、ある一定額以上の預金をしない顧客からは、毎月、口座維持費用を受け取る。同じことを日本の銀行はやらない。

 このように、日本と海外ではサービスに対する考え方が大きく異なる。そして、日本で万人に提供される質の高いサービスを、アジアの一般庶民全員が求めているとはかぎらない。反対に、お金持ちは日本よりもさらに質の高いサービスに慣れており、日本の万人向けサービスでは満足しないのだ。サービスの質だけを武器にアジアへ出ることは禁物だ。

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【会社概要】ストラテジテック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)

中国インド東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。

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