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2012年8月14日

【新興国に翔ける】中堅中小企業こそ英語の社内公用語化を

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120814/mcb1208140502006-n1.htm

 前回(7月31日付)は、最近、話題を呼んでいるユニクロ(ファーストリテイリング)や楽天が英語を社内公用語化したことに触れた。今回は、この英語の社内公用語化が中堅中小企業にもたらすメリットを述べたい。

 「社内公用語を英語にする」。これを聞き、多くの中堅中小企業経営者は「そんなことは一部の大企業での話」と感じているのではないだろうか。しかし、私は中堅中小企業こそ英語を社内公用語化することにこれからの時代を勝ち抜く上での勝機があると考えている。

 まず、英語の社内公用語化の必要性について考えてみよう。人口減少や少子高齢化による内需縮小は着実に進行しており、内需だけでは市場が不十分な時代は確実に訪れる。「なんとかなるのではないか」との根拠なき希望も持ち続けたいが、恐らくなんとかならないだろう。遅かれ早かれ、結局は外需獲得がこれからの企業に欠かせなくなる。

 中堅中小企業がグローバル化に後れを取る最大の要因は、優秀なグローバル人材の確保ができないことにつきる。ただでさえ、現状の日本はグローバル人材が不足している。今後も優秀な人材は大手がこぞって獲得するだろう。

 したがって、中堅中小企業がグローバル化するには社内でグローバル人材を育成していかなければならない。

 グローバル人材は一夜にしてできない。教育には長い時間を要する。だからこそ、今から始めなければならないのだ。

 公用語を英語にすると、獲得競争の激しい日本人争奪戦から解放される。採用候補者は世界20億人以上の英語修得者に広がるだろう。アジアからの採用であれば、日本の若者よりも優秀で、なおかつ人件費の安い人材を確保できる。

 これからの時代、企業は無国籍化してグローバル対応していかなければ生き残れない。日本の中堅中小企業の最大のライバルは国内にはいない。海外の中堅中小企業との競争になる。どちらが先にグローバル化できるかが、勝敗を大きく左右するだろう。

 国家に例えると、シンガポールが非常に良い例である。人口約500万人程度の小国が、東南アジアの中で唯一劇的に成長した根底の一つに、国家の共通語を英語としたことが挙げられる。国民が英語を話す国家とは、インフラが整っているのと同義である。電気や水道のインフラが整備されているのと同じように、英語を話す人がそろっている国には、世界中から多くの投資が集まる。今やシンガポールは、アジアで不動の地位を築いている。

 現実論として、従業員が数千、数万の大企業と比較し、数十人、数百人、多くても1000人程度の中堅中小企業の方が容易に英語化は達成できる。もちろん、2?3年は大変だろうが、英語を母国語とする英語教師を1対数十の比率で迎え入れ、徹底して継続すれば決して不可能ではない。

 英語を社内公用語化することの最大のメリットは、世界とのコミュニケーション以上に、社員の思考がグローバル対応になることだ。この最大の武器を手に入れ、中堅中小企業がさらにグローバル化することを心から願っている。

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【執筆者紹介】

 森辺一樹(もりべ かずき)

 2002年、ストラテジック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)を創業。現会長。1000社を超える企業に対して新興国展開支援の実績を持つ。海外市場開拓コンサルタントの第一人者として活躍中。