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2011年8月30日

【新興国に翔ける】中国EC市場で苦戦する日本勢

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110830/mcb1108300504010-n1.htm

 中国のあらゆる市場の中でも今後最も成長が見込まれている分野の一つである電子商取引(EC)市場。2010年、中国の電子商取引額は4兆5000億元(約54兆円)を超え、今後もさらなる成長が見込まれている。

 近年、このような市場背景の中、ヤフーや楽天など日本のインターネット通販会社も積極的に中国進出を果たしている。しかし、いまだ成果は得られていない。むしろ、得られなくて当たり前だろう。

 中国の電子商取引市場は次のような構図になっている。まず、BtoB(企業間取引)市場は、1位の阿里巴巴(アリババ)が60%強のシェアを持ち、残りの40%弱を1000?2000社で争っている。ジャック・マー氏が率いるアリババの活躍は世界的に見ても圧倒的で、この市場に殴り込みをかけるには相当な覚悟が必要だ。生半可な戦略と投資では中途半端な結果になることは明らかだ。賢明な経営者であれば、この市場はあきらめるか、アリババと組む道を探るべきだろう。

 次に、ヤフーや楽天が苦戦している消費者向け市場に関しても、アリババグループが率いる淘宝網(タオバオ)が80%以上という独占的シェアを持っている。淘宝網は、いわゆる百貨店型のビジネスモデルで、ヤフーや楽天と同じだ。ヤフーは淘宝網と提携し、現地法人を置かずに日中双方の利用者が商品を購入できるビジネスを展開している。

 しかし、中国の消費者にとって数千円もの送料がかかる日本商品は、売れても限界がある。また、世界最高の品質とサービスに慣れ親しんだ日本の消費者にとって、中国企業から商品を直接買って満足するはずがない。中国調達に長く接している人ならだれでも分かることだ。

 一方で楽天は中国最大の検索エンジンである“百度”(バイドゥ)と提携し中国進出を果たした。百貨店型のEC事業者が検索エンジンと組んで何をしたかったのか。

 この提携で損をしないのは百度だけである。楽天がどう転ぼうと、百度は致命傷に至らない。

 これら80%以上のシェアを持つ絶対王者が存在する市場への殴り込みにしては、あまりにお粗末な戦略だ。

 アリババや淘宝網の強さは10年も前からリスクを取り続けたからこそ得られたものだ。日本勢もトライ&エラー(試行錯誤)で学んでいくのかもしれないが、この程度のことであればエラーをせずとも分かる話である。

 では、日本勢はどうしたら勝てるのか。百貨店型で勝負をするのであれば、日本のECノウハウや日本製品などまったく強みにはならない。また、最下位からのスタートにもかかわらず、勝手の分からない駐在員を送り込むのもやめるべきだ。

 この市場の成長スピードは駐在員の成長よりもはるかに速い。シェア80%の絶対王者が存在している以上、もう最下位から上を狙えるような甘い状況ではない。鍵となるのは、中国市場で2位や3位の企業と資本を含めてどう提携をしていくかだ。それがだめなら百貨店型でこの市場に出るべきではないだろう。

 次回は、まだまだ期待の持てる専門店型とメーカー型のECについて話をしたい。

                   ◇

【会社概要】ストラテジテック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)

中国インド東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。

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