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2011年2月1日

【新興国に翔ける】中国市場はまず消費者の特性を探れ

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110201/mcb1102010503011-n1.htm

 先日、上海でオープンした日系ファッション専門施設の視察に行った。専門家に言わせると、日本のアパレルブランドの中国販売はハードルが非常に高い。ブランド企業側は進化しすぎた日本市場で育ち、高いセンスと品質を持ち合わせているものの、ブランド力はほぼ国内限定だ。海外への影響力は、韓国と台湾までである。

 また、国内に目を向ける企業が多い業界であるのも事実だ。そのため、私はファッション専門施設が日本のファッションブランドを引き連れて中国展開することに、ある種の期待を抱いて視察に行った。しかし、その期待は見事に裏切られてしまった。

 平日と週末に視察をしたが、まず、客数の少なさにあぜんとした。土曜日の昼間でバーゲンセール開催中というのに、全フロアの客数は目で数えられるほどしかいない。オープン初日こそ大勢の人でにぎわい、日本のテレビ局は「大人気の日本ファッションの専門施設がオープン」と派手に報道していたが、現実はほど遠い。

 立地は最高で、日本でいえば渋谷と表参道のメーンストリートにあるといっていいだろう。目と鼻の先には大型商業施設のほかにマクドナルドやスターバックスなどが立ち並んでいる。しかも、そちらは連日大盛況だ。

 要因は、明らかに事前のマーケティング不足による中国人消費者の不理解である。商業施設側も出店ブランド側も、自社の中国市場における立ち位置や顧客ターゲットがまったく定まっていないように感じた。とにかく価格が高すぎる。ほとんどの商品が日本と同等以上の価格で売られている。

 箱(商業施設)も無名であれば、中身(日本のファッションブランド)も無名。にもかかわらず、値段設定は中国人消費者を理解せず、己を過信しているとしか思えない。

 例えば日本でラーメンの相場は700円と決まっている。1万円のラーメンは何をしても売れないし、3000円のラーメンを売りたければ、それなりのことをしなければ売れない。それと同じである。

 また、日本ブランドの影響力も「自動車や家電」と「ファッション」では異なる。グッチやプラダに高いお金は払っても、無名の日本のファッションブランドに高いお金は払わない。

 中国のファッション市場を扇に例えると、右はヨーロッパをはじめとした高級ブランドで、圧倒的なブランド力を誇り、ごく限られた顧客層をターゲットとしている。そして扇の左は中国の地元ブランドや外国のファストファッションブランドが占める。

 どちらにも当てはまらない日本のファッションブランドは、まさに扇の最も広い中央部分に当たる。この顧客層は多岐にわたるため、マーケティング戦略をしっかり組み立てないと成功はない。

 ブランド側も商業施設にただ頼るのではなく、自社独自のマーケティング戦略を持つ必要がある。まだ始まったばかりだ。今後の活躍に期待したい。

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【会社概要】ストラテジテック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)

 中国インド東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。

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