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2010年8月31日

【新興国に翔ける】中国に“出ない”戦略

http://www.sankeibiz.jp/business/news/100831/bsg1008310816002-n1.htm

 中小企業の中国進出は安価な労働力や親会社の中国進出に伴ったものではなく、中国市場の獲得が至上命題になっている。多くの中小企業が限られた経営資源の中で中国市場獲得の成功モデルを模索している。

 さまざまな企業の対中戦略にかかわってきた立場から、私は中小企業には“出ない”戦略を提唱する。この戦略は、中国市場をあきらめるのではなく、法人なき中国進出を指す。法人を設立せずに、中国市場の獲得を目指すモデルである。

 中小のサービス業や小売業は、中国企業の買収や中国企業とのライセンス契約ができる資金力やブランド力がないので、現地に進出して成功するほかに道は厳しい。

 しかし、モノを売る中小企業が現地法人を設立すれば、それはリスク以外のなにものでもない。

 まず初期コストが発生し、その後、利益が出ていなくても法人を抱えれば固定費が継続的に発生する。中小企業にとって最難関と言っても過言ではない優秀な人材の確保や中国ならではのリスクへの対応力など、克服しなければならない課題は多い。これはBtoC(企業と一般消費者との間で取り交わされる取引)、BtoB(企業と企業との間で取り交わされる取引)にかかわらず同じである。

 現地法人を設立しても、販売網がなければ、固定費が垂れ流しになる。これが中小企業にとっては致命傷となるのだ。経営資源が豊富で、体力のある大企業は販売網をつくるために、中長期的な投資を加味した早期の進出が可能だが、中小企業はそうはいかない。

 従って、現地に法人を設立してから損益分岐点に到達するまでの期間を可能な限り短縮できる戦略を取るべきなのである。ここが製造業が進出した際と大きく異なる点だ。

 中国を生産拠点としていたころは、中国政府の優遇施策のもと、開発特区に土地と建物と工員、そして有利な税制までをも用意され、日本の中小企業はただただ技術力の高い製品を製造していればよかった。なぜなら、作った製品はすべて中国から輸出され、日本や欧米の決まった買い手が買ってくれたからだ。しかし、中国市場を獲得するには、買い手を中国で開拓しなければならない。中小企業の中国市場獲得は、販売網の構築が先で、次に販売網をマネジメントする現地法人を設立すべきである。販売網の構築が最優先で、それは現地法人なくしても達成しえる課題だからだ。

 日本の中小企業は、中国市場で十分に通用する企業がまだまだある。しかし、成功モデルへの理解が浅いために無駄な失敗事例や市場獲得を断念せざるを得ないケースが多い。

 中小企業が中国市場で成功することは、日本の地域活性化につながり、ひいては日本経済の復興に大きく寄与するだろう。

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【会社概要】ストラテジテック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)

 中国インド東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。

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