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2012年1月10日

【新興国に翔ける】リスク取る人材を評価せよ

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120110/mcb1201100502014-n1.htm

 新興国の企業と日本の企業では、リスクに対する考え方に大きな差が存在する。このことが、日本企業の新興国ビジネスに暗い影を落としているように思う。

 日本人にとってリスクとはどのようなものなのか。日本では、“リスク=悪”という印象をもった人が少なくない。リスクというものは存在自体が悪であり、怖いものであるといった印象が強い。従って、高いリスクを取って高いリターンを狙うことなどもってのほかで、そんなことをする企業はタブーとされる風潮がある。可能な限りリスクを低く抑え、低いリターンでも良いので着実に得られる方が“正義”とされている。

 一方、新興国では、“リスク=チャンス”であり、多くの企業がリスクを積極的に取ることで成長をしている。いわゆる「high  risk,  high  return」「low  risk,  low  return」というロジックがしっかりと認知され、皆がそのロジックの中で積極的にリスクを取り成長に努めている。

 そのため、高いリスクを取って高いリターンを得ることをタブー視する人など少ない。むしろ、高いリスクを果敢に取り成長するという姿勢の方が、失敗を怖がりリスクを取らないことよりもずっと評価に値する。

 いったい、この差は何から来ているのだろうか。成長期にある新興国と成熟期にある日本では、リスクを果敢に取り急成長すべき新興国と、リスクを極力避け現状を守らざるを得ない日本で、リスクに対する認識に大きな差が生じているのだろうか。もしくは、歴史が短い新興国企業と歴史が長い日本企業では、短いからリスクをたやすく取れるのと、長いから躊躇(ちゅうちょ)してしまうという差なのだろうか。

 どちらも事実である。しかし、最も大きな理由は、多くの日本企業がリスクを取って失敗した人を評価しないという組織の評価基準に問題があると私は思う。新興国の担当役員の多くは50歳以上、現地の執行責任者は40歳以上である。この年齢で失敗をすれば、本流から外され、今まで築き上げてきたものが一瞬で崩れる。日本に戻っても席はない。こんな評価基準が平然とまかり通っている組織で、訳の分からぬ新興国市場で果敢にリスクを取ってチャレンジすることなどできる訳がない。とにかく余計なことはせず、前任者のしてきたことを任期が終わるまで維持する。誰もがそう考えるだろう。

 しかし、新興国ビジネスとは、日本では当然のように“避けるべきリスク”でも、取らざるを得ないケースが多々ある。また、そもそも、それをリスクと判断していては、ビジネスが成り立たないケースもある。新興国でビジネスをするということは、そのこと自体が既にリスクであり、新興国ではやること成すこと全てにリスクが伴うと言っても過言ではない。であれば、そのリスクを果敢に取る姿勢を、会社組織がしっかりと評価しなければ、そんな人材は生まれない。リスクを避けた人間より、リスクを取って失敗した人間の方が、将来的に何十倍もの価値を生むのだから。

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【会社概要】ストラテジテック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)

中国インド東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。

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