TOPレポート・コラム> レポート・コラム詳細

セミナー・講演会詳細

2011年6月28日

【新興国に翔ける】リスクに対する概念を変えろ

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110628/mcb1106280502016-n1.htm

 新興国市場でビジネスを展開する際に、最も重要なのはリスクに対する概念を変えることだ。日本のリスクに対する概念をそのまま新興国に持ち込めば、ビジネスは絶対に成功しない。

 日本では当然“避けるべきリスク”でも、新興国では取らざるを得ないケースが多々ある。また、そもそもリスクと判断していては、ビジネスが成り立たないケースもある。新興国でのビジネス展開は、そのこと自体が既にリスクであり、新興国ではやること成すこと全てにリスクが伴うといっても過言ではない。

 要は、リスクに対する基準を日本本社に合わせていたら新興国でのビジネスなどできないということだ。

 しかし、これを本当の意味で理解できている日本企業は少なく感じる。

 2000年代前半、欧米企業の内販(国内販売)の実態を知る私は、多くの日本企業に中国およびアジアの内販を提案していた。ところが、大半の企業からは「理屈は非常に理解できるが、まだまだリスクが…」との回答が返ってきた。

 当時、内販はリスクが高いと見なされ、限定的に行われていたのだ。結果、アジア市場で日本企業は、欧米企業に10年出遅れた。その間、韓国、台湾企業の追い上げにあい、今では格が下であったはずの彼らを競合視しなければならないどころか、負けるケースも珍しくない。

 欧米企業は新興国で日本企業よりもはるか前からリスクを取り続けてきている。そもそも、リスクの語源は欧州であり、また英語には「high risk, high return(リスクが高いが利益も高い)」という言葉があるように、アメリカ的経営を行う企業には“リスクを取る”というDNAが企業の中にしっかりと存在している。

 だから、彼らは豊かになってもリスクを取ることを辞めない。この時点で日本企業とは大きな差が存在する。

 日本企業が最もライバル視すべき韓国、台湾、そして新興国の現地企業もすさまじい成長意欲の中、リスクを取って市場に挑んでいるし、日本企業が感じるリスクなど、彼らはリスクと認識していないようにも見受けられる。

 しばらく前に「チャイナ・リスク」や「カントリー・リスク」などという言葉がはやったが、今はどうだろうか?

 完全に死語である。今では逆にそのような言葉を口にする経営自体がリスクだ。圧倒的な経済成長がリスクをはるかに上回っている。これは特別なことではなく、新興国とは、そもそもそういうものだ。

 日本企業もかつてはリスクを取っていたはずだ。戦後、リスクを取り続けた結果が、今の豊かな日本を創ったのだから。

 20年もの長い年月に渡り景気低迷が続き、われわれは今、崖っぷちに立たされている。楽観的に将来を考えるのはもう限界だろう。そろそろ好景気がめぐってくるのをただ待つのを止め、リスクを取ってチャンスをつかみに行くことが必要だと強く感じる。

                   ◇

【会社概要】ストラテジテック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)

中国インド東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。

ホームページはhttp://www.sdigrp.com/