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2012年3月13日

【新興国に翔ける】サムスンの真の脅威はこれからだ

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/120313/mcb1203130501012-n1.htm

 韓国のサムスンやLG電子の新興国における攻勢はとどまるところを知らない。今や日本人にとって、韓国企業はかつての無名の存在ではない。新興国市場におけるビジネスの最前線では、日本企業の駐在員も必死に応戦している。今回は、彼ら韓国勢の本当の脅威について、人材に焦点を当てて述べたい。

 かつて、新興国が生産拠点だった時代は、日本企業にとってマーケティングやローカライズ(現地化)といったものは無用であった。日本から送り込まれた生産畑出身の駐在員がひたすら、現地人の工員を指導すればビジネスは成り立った。新興国で作ったものは、既に先進国という売り先が確保されており、重要なのはいかに安く良いものを作るかであったからだ。

 時は流れ、今、生産拠点であった新興国がマーケットとなった。従来とは、送り込まれる駐在員の人材要件が変わり、生産から営業やマーケティングといった文系出身者へと変わっていった。しかし、新興国市場では日本市場での営業やマーケティング経験は役に立たず、なかなか成績を伸ばせないでいる。

 この新たなステージにおいて、送り込まれる駐在員のグローバル化の度合いで先攻したのが、サムスンなどの韓国勢である。

 彼らは、優秀な若手社員を文化探究の名のもとに積極的に新興国へ派遣し、仕事は一切させず、現地に即した生活をさせ、現地の文化を徹底的に学ばせた。いったん帰国させてから、その国へ今度は駐在員として送り込み、文化を理解した人材が現地マーケットの獲得に挑む仕組みを作り上げた。これがサムスンの「地域専門家制度」である。

 韓国勢の駐在員も送り込まれた人材がどれだけ現地を理解しているかの違いはあれど、日本企業とやっていることは基本的に変わらない。だが、現実には技術力にひたすら頼った日本企業と差が付いた。

 この差は、技術力に頼っても新興国市場は取れないということに日本企業が気付けば、すぐにでも取り戻せるであろう。そんなことはサムスンも重々分かっているはずだ。

 韓国勢が本当に怖いのは、サムスンの地域専門家制度がさらに次のステージに行ってしまうことだ。

 韓国人や日本人がどんなに現地を知ろうとも、現地人の知識と経験にはかなわない。外国駐在員は3?5年で帰任を繰り返せば、せっかく学んだ知識がそのたびにリセットされる。また、外国人による異国の統治は長続きしないことは歴史が証明している。これはビジネスの世界でも同じだ。

 韓国勢は今後、現地で指揮をとった経験を持つ駐在員が本国本社に戻り、現地人主導の現地法人をマネジメントするステージへと移るだろう。そうなれば、新興国における戦いのスピードはますます上がり、それこそ埋めることのできない差ができてしまう。

 そうなる前に、日本企業も現地人材の育成と本社のグローバル化を急がねばならない。

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【会社概要】ストラテジテック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)

中国インド東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。

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