TOPレポート・コラム> レポート・コラム詳細

セミナー・講演会詳細

2011年12月20日

【新興国に翔ける】インドの光と影

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/111220/mcb1112200500002-n1.htm

 ポスト中国と騒がれるインド。昨今の経済成長は著しく、ここ数年の経済成長率は9%台を維持している。2008年秋のリーマン・ショックの際は、さすがに5%弱まで落ち込んだものの、即座に回復を見せ、9%台に持ち直している。いくつかの研究機関では、13年にも経済成長率で中国を抜き、中印逆転の構図を予測している。

 十分にあり得るシナリオである。インドの経済成長は今後も著しいことに変わりはない。しかし、中国がこの10年で成し遂げた豊かさへの圧倒的なスピードをインドが実現できるかには疑問が残る。なぜなら、インドにはいまだに根深い身分制度の問題が存在するからだ。

 中国は、トウ小平の先富論のもと、先に豊かになれる者から次々と豊かになっていった。そこに身分の差はなく、誰もが豊かになるチャンスを平等にとは言いがたいが、少なくとも持っていることは事実だ。確かに、共産党員や共産党に近い人たちが多くの富を独り占めしている現実はある。しかし、それでも、中国には“成り上がり”が存在するし、“チャイナ・ドリーム”も存在する。農民が一夜にして大金持ちなることも、工場の工員が起業して大金持ちになることもあり得る。

 しかし、インドにはこれがないのだ。最初から決まっている限られた人たちだけが豊かになり、そうでない大半の人々は一生豊かになるどころか、職業すら変えることができない。これは、現実にインドの根深い身分制度が大きく影響しているためだ。

 カーストといわれるインドの身分制度は、大きく分けると「ヴァルナ」という身分的階層と「ジャーティ」という職業的階層に分類される。これらは世襲制であるため、生まれながら身分と職業は決まっている。もともと、これらの階層は肌の色に由来するものであり、インドに侵略したアーリア民族の肌の色がドラヴィタ民族に比べ白かったため、アーリア人の肌の色を頂点として作り上げられた身分制度なのである。

 もちろん、正式にはカースト制度は廃止され、現在は存在しないことになっているが、実際は根深く存在している。特に、職業階級に関しては非常に根深く、現在のインド社会を構成するのは複雑に細分化された職業階級である。その証拠に、インドの政治家や富豪の肌の色を見てほしい。比較的肌の色が白い人たちばかりである。金融やIT(情報技術)業界で活躍している人、映画・音楽産業で活躍する人に関しても同様である。一方で、スラムに住む人たちの肌の色は黒い。

 国が高度成長期を迎えるとき、そこには必ず多くの“成り上がり”が存在する。成り上がるチャンスはある程度平等に与えられ、人一倍それを願い、行動した者が運と時代を味方につけて成り上がっていく。

 しかし、インドではごく限られた人たちだけが成り上がることを許されている。これでは中国同様のスピードで成長することは難しいだろう。

                   ◇

【会社概要】ストラテジテック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)

中国インド東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。

ホームページはhttp://www.sdigrp.com/