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2011年2月22日

【新興国に翔ける】アジア進出は安易に急ぐな

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110222/mcb1102220503005-n1.htm

 連日、大企業のアジア進出が報道されるなか、中堅中小企業のアジア進出も一層熱を増してきた。大企業に依存するのではなく、自力でアジアに進出しようとする流れは大きくなりつつある。一昔前であれば、生産材メーカーを中心に、顧客となる大企業の工場移転に伴った進出が主流だった。現在は、単独でも現地市場で売ることを目的とした進出が主流であり、生産材に限らず消費財メーカーやサービス業までもがアジア進出に取り組んでいる。

 しかし、昨今の中堅中小企業のアジア進出は、「出ること」が目的になっているように感じる。支援側の企業や金融機関、自治体の支援策も、基本的には企業をアジアに進出させることが大前提であり、「本当にその企業に進出が必要なのか?」「その企業が進出して勝算はあるのか?」「勝算の具体的な根拠や戦略はどういうものなのか?」といった部分にはほとんど触れられない。この現実に、私は非常に強い危機感を感じている。

 そして、企業側も「弊社には素晴らしい技術と現地ニーズがある」「弊社には良き現地パートナーが居る」など、さまざまな好材料を口にはするが、その根拠に乏しいケースが少なくない。

 素晴らしい技術やサービスをどう売り込むのか?

 また、本当にその技術やサービスが望まれる市場なのか?

 日系企業の商品やサービスはアジアではガラパゴス化(技術やサービスなどが日本市場で独自の進化を遂げ、世界標準からは懸け離れてしまう現象)していることが多々あり、また技術やサービスは素晴らしくとも売る力及ばずの事例は山ほどある。

 素晴らしいパートナーに関しても、パートナーの幹部が日本語を話せるだけで、「良きパートナー」になっているケースも多く、また、親族を通じた地元政府との強いパイプなどの浮いた話が出たら、まずアウトと考えた方がよいだろう。この類いの話は、中堅中小企業のアジアビジネスでは起こりえないからだ。

 アジア市場を開拓するための進出は、生産目的の進出とは勝手が違う。大企業ですら相当な苦戦を強いられているなか、経営資源に乏しい中堅中小企業がアジア市場に安易に飛び込むのは無謀以外のなにものでもない。

 いま、アジアは世界中の企業が狙っている大市場であり、そこに乗り込むということは、世界中の企業と戦っていく必要があるということを再認識すべきだ。残念な現実ではあるが、アジア市場には、「出るべき企業」と「出てはいけない企業」が存在する。その見極めに失敗すれば、進出することで日本本社の屋台骨を揺るがしかねない。私は、中堅中小企業のアジア進出には肯定派である。ただ、安易に急ぐ必要はなく、いま一度、自社のアジア進出の必要性と進出戦略を見直してほしいと強く願う。

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【会社概要】ストラテジテック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)

中国インド東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。

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