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2011年5月3日

【新興国に翔ける】アジア進出に生き残りを託すな

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110503/mcb1105030503018-n1.htm

 最近、「生き残りをかけてアジア進出」という言葉をよく見聞きする。景気低迷が続く日本市場でビジネスをしていても生き残れないので、生き残るために海外に出る、もしくは出ろといった内容のものだ。

 確かに、日本の経済は低迷期に入って既に20年ほどになる。少子高齢化という問題もあり、この先も急激な景気回復は望めないだろう。従って、外需を獲得しなければならないのは事実だ。特に、成長著しいアジア市場の獲得は日本企業にとって最重要課題といえよう。

 しかし、海外市場は生き残るために出る市場ではない。事業を一段と成長拡大させるために出る市場だ。事業を拡大成長させたい企業は積極的にアジアへ出るべきである。

 世界中の投資マネーが、どこに向いているのかを常に見極めることが非常に重要だ。今は日本に向いていない。投資マネーが集まる国は急成長をする。資金が集まり、インフラが整備され、産業が生まれ、市場が新しいものをどんどん求め、企業が生み出し、ビジネスチャンスがあふれる。

 その市場の場所と成長のタイミング、そして自社の事業領域の交差する地点を見極めることが、成功するうえで非常に重要だ。

 そして、最も重要なのが戦略の概念を変えることだ。多くの日本企業の戦略は製品やサービスありきのプロダクトアウト(市場のニーズを意識せず、企業側の意向や技術を重視して製品やサービスを開発し、それらを市場に導入する考え方)の概念から抜け出せていない。製品やサービスはあるが戦略なきまま進出する企業は、大企業の間にも多く存在する。いわゆる、出てからいろいろと学び考えようというものだ。これでは、まるで竹やりを持って現代の戦場に飛び込むようなものだ。

 アジアでは、製品やサービスありきの戦略では勝てない。市場ありきで戦略を立てるべきである。そして、その戦略は市場の可視化なくしては成り立たない。

 戦う前に、どれだけ市場を可視化できるかが戦略構築の肝である。企業規模の大小に関わらず、事前の市場の可視化はアジア進出の必須条件だ。

 日本企業にとってアジアで事業をするということは、普通に考えても日本で事業をする以上に難易度が高い。特に、世界中の競合相手がひしめく成長著しいアジアを中心とした新興国となれば、その難易度は先進国の比にならない。このような市場に生き残りをかけなければならない企業が進出して勝てる訳がない。

 生き残りをかける必要がある企業は国内にとどまり、生き残りの道を探るべきである。勝手が良く分かった日本市場にとどまった方が、よっぽど長く生きられる。アジア市場を絶つということもひとつの重要な経営判断だ。

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【会社概要】ストラテジテック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)

中国インド東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。

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