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2010年8月24日

【新興国に翔ける】「底辺層ビジネス」の戦略

http://www.sankeibiz.jp/econome/news/100824/ecc1008241322018-n1.htm

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 発展途上国で暮らす人たちの人口52億人。1日2ドル(約170円)以下で暮らす人口26億人。安全な水を得られない人口11億人。5歳まで生きられない人口5億人。十分な栄養を得られない人口11億人。電気が使えない人口16億人。読み書きができない人口12億人。(※C.K.プラハラード著『ネクスト・マーケット』より)

 今、世界では、年間所得3000ドル以下の低所得者層が約40億人に上る。これは世界人口の約7割に相当する。市場規模は日本の国内総生産(GDP)に匹敵する約5兆ドルとも言われ、BOP層(所得別人口構成ピラミッドの底辺層)として欧米企業を中心に熱い視線が注がれている。

 BOPビジネスの先駆けは、バングラデシュのグラミン銀行である。同行は、BOP層にマイクロ・クレジット(小口融資)という少額の貸し付けを行った。女性を中心に500万人以上に貸し付けたが、貸し倒れ率はわずか2%にとどまったという。この融資制度で元手資金を得た多くのBOP層が商売を通じ生活水準を向上させたのだ。

 また、グラミン・フォンの事例も有名である。固定電話にはつながらないが、携帯電話同士の通話が格安であることを売りに、利用者を拡大した。そもそも固定電話の普及率の低い新興国では、固定電話とつながるよりも、携帯間の通話に限定されても通話料が安いことの方が重要だったのだ。

 BOPビジネスに関しては、日本企業よりも欧米企業が先行している。仏の食品大手ダノンは、バングラデシュで“8円ヨーグルト”を売り、蘭の電機大手フィリップスはインドで格安コンロを販売。スキン・ヘアケア用品の英蘭ユニリーバは新興国で小袋シャンプーなどを販売している。各社とも、今年や来年の収益ではなく、BOP層が後にボリュームゾーンである中間層へ成長したときに得られる巨額利益を想定した長期的な戦略を描いている。

 BOP層の獲得には、長期的な戦略と、現地化したマーケティングを要する。高機能商品やサービスで中間層の獲得に苦しむ日本企業にとって、BOP層の獲得はさらにハードルが高いだろう。しかし、貧困の課題克服は世界規模で進められており、長期的にはBOP層が減り、中間層が中心となる市場ができあがる。そのとき、市場の中心にいるためには、今、BOP層へどう取り組むかにかかっている。

 忘れてはならないのは、BOP層への取り組みの意義は、ビジネス面だけではない。貧困という地球レベルの社会的課題への解決につながるということでもある。

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【会社概要】ストラテジテック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)

 中国インド東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。

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