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2011年5月31日

【新興国に翔ける】「伝統的か近代的か」国別の流通構造を学べ

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/110531/mcb1105310504011-n1.htm

 アジア市場で商品を販売する際、最も重要となるのが国別に異なる流通構造を理解することだ。特に消費財は、小売り流通の構造をしっかりと理解しなければ、商品が売れない。日本の流通構造の例に習えば、必ず失敗が待っている。

 小売り流通は、大きく分けて2種類が存在する。ひとつがTraditional Trade(伝統的小売り)で、もうひとつがModern Trade(近代的小売り)である。

 伝統的小売りとは、昔ながらの家族経営型の小さな小売店を指す。一方、近代的小売りとは、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなど、チェーン型や大型の現代的な小売業者を指す。日本のような近代国家は、流通の大半が近代的小売りで占められている。しかし、アジアは国ごとにその構造が異なる。

 例えば、広大な国土に13億人を抱える中国の場合、小売り流通はすでに近代化しており、業種や業界にもよるが、消費財の約6割は近代的小売りを経由して売られている。百貨店や量販店、コンビニは都市部の至る所に存在し、消費者はそこで商品を買うことが普通になっている。

 対して、同じく広大な国土を持ち、総人口12億人のインドの場合、やはり業種や業界によるものの、近代的小売りを経由して売られる割合はわずか5%で、95%は伝統的小売りを経由している。これが消費財市場における中国とインドの絶対的な差なのである。

 人々の生活が豊かになると、流通は近代化し、近代的小売りが流通の大半を占めるようになる。近代的小売市場に商品を流通させるのと、伝統的小売市場に商品を流通させるのとでは事業手法が異なる。労力や投資が必要なのは圧倒的に後者だ。

 伝統的小売市場は、市場が近代的小売り化するまでの間、長らく投資が必要となる。日本企業が最も不得意とする領域だ。しかし、逆に中国のように近代化がすでにある程度まで進むと、競合も多く、参入がなかなか難しいのも事実である。従って、その市場を本気で席巻しようとすると、伝統的小売市場のうちから投資をしていく必要があるのだ。

 東南アジアもひとくくりにはならない。全11カ国のうち、市場として価値があるのはシンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピンの6カ国だ。なかでも、シンガポールとマレーシアは、国、業種、業界によるが、70?90%は近代的小売市場である。逆に、タイ、インドネシア、ベトナム、フィリピンの近代的小売市場は10?30%なのである。東南アジアでも国によってこれだけの差が存在する。

 市場の大半がまだ伝統的小売市場であるにも関わらず、いくら近代的小売りへ積極的に販売活動を行っても市場シェアは上がらない。これらアジアの市場を狙う際、その国が今、どちらの小売市場にあるのか。そして、今後どのような時間軸で近代化していくのかをしっかりと加味した戦略を立てなければ成功はない。どれだけ商品が良くとも、流通構造を軽視してはその市場での成功はあり得ないのである。

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【会社概要】ストラテジテック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)

中国インド東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。

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