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2010年10月26日

【新興国に翔ける】「パートナー頼み」に陥るな

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/101026/mcb1010260503009-n1.htm

 日本が海外進出を果たす際、特に陥りやすいのが、「パートナー頼み」だ。提携したパートナーに現地でのオペレーションを頼り切ってしまい失敗するケースである。たしかに、日本企業が慣れない異国で無理やり日本式を貫き通すより、現地パートナーにある程度の部分を任せるというのは有効な手段でもある。「現地生産」では、日本式を貫き、異国でも高品質な製品製造を成功させてきたが、「現地販売」となるとそうはいかない。

 しかし、現地パートナーは、日本企業より現地におけるビジネスには精通しているが、百人力の万能企業ではない。特に日本企業が現地でビジネスを展開する場合、その国にはないものを持ちこむケースが多い。サービス業であれば、事業モデルの現地化が必要となる。また、異国の地での事業展開は、現地企業のほうが日本企業よりも優れていると思われるだろう。それはあくまで感覚の域を越えず、自社での調査と仮説・検証を行わなければ、確証は得られない。現地企業のパートナーがいるから安心ということはないのだ。しかし、多くの日本企業は良き現地パートナーを得たことに目が行き、パートナーの戦略を実証せずに受け入れてしまっている。

 パートナー頼りによる失敗事例を紹介しよう。日本企業A社が、シンガポールで飲食店割引クーポン事業を現地営業会社B社との合弁で開始した。総人口は少ないが、豊かな食文化と1人当たりの客単価の高さ、また、割引を重要視する国民性、そして、競合が存在しないことから勝算はあった。

 飲食店割引クーポンのノウハウを持つA社と、現地事情に精通し飲食店に強固な営業力を持つB社が組めば、確実に成功しシンガポールを拠点に東南アジア市場を席巻できるはずだった。しかし、結果は2年で約1億円強の投資を回収できず撤退に終わった。

 失敗要因は、シンガポールのクレジットカード事情にあった。中間層は割引への執着が強く、食事代が割り引かれるなら面倒がらずにクーポンを利用する。しかし、シンガポールでは、飲食店の割引はクーポンではなく、クレジットカードが担っていたのだ。シンガポールの中間層は、平均6?7枚のクレジットカードを保有している。理由は、特定の飲食店で特定のクレジットカードを使えば、通常以上の大幅な割引が得られる仕組みになっているからだ。カード会社側は、決済を増やすため、飲食店と特別割引契約を積極的に結んでおり、大幅な割引を提供している。割引率が高く、ポイントも貯まるのであれば、消費者は当然、クーポンよりもクレジットカードを使う。

 A社は現地企業B社に現地展開を完全に頼り、自社での調査と仮説・検証を怠ったのだ。これは非常に分かりやすいケースだが、海外市場を狙う日本企業には同様のケースが少なくない。

 パートナーの選定そのものも重要であるが、それ以上に、パートナー頼りではなく、自社での調査と仮説・検証は必ず行わなければならない。すべての現地企業があらゆる現地事情に精通しているとは限らないからだ。

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【会社概要】ストラテジテック・デシジョン・イニシアティブ(SDI)

 中国インド東南アジアを中心とした新興国市場のリサーチとマーケティングに特化している。

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